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アベ氏の使う代用語

 

本来の意味を失った言葉、代用語が小泉ジュンイチロウ氏周辺でよく使われてきましたが、首相が交代しても、その傾向は変わりそうもありませんね。

 アベ氏が頑固に主張する「自主独立」という言葉も、そんな代用語の最たるものでしょう。
 彼の好きな「愛国心」だって、もとはといえばアメリカの要望だったことを忘れるわけにはいきません。

 これについて詳しいことは拙ブログ「愛国心は米国の要求だった」 をお読みください。         
 池田特使・ロバートソン国務次官補会談(1953年10月5日―30日)での覚書には

 愛国心と自己防衛の自発的精神が日本において成長する如き気分を啓蒙と啓発によつて発展することが日本政府の責任である

とありますね。米国側の要求日本側の保守勢力の思惑が一致していた、ということでしょう。            

  興味深い記事が、アジアプレスネットワーク ウェブジャーナルにありました。

 まだ幹事長代理時代の安倍シンゾー氏がはちまきを締めた凛々しい姿(あ、これももしかしたら代用語!?)で、「教育基本法改正を求める中央国民大会」で行った講演の動画も、そこで見ることができます。

 子供たちの間に生じるさまざまな問題も、アベ氏はこの60年間の戦後体制の中に位置づけます。「占領体制下で成立した」という言葉で憲法、教育基本法をやり玉に挙げながら。

「損か得かに価値観の基準を置いてきた」と、憲法と教育基本法のもとで行われてきた教育を断罪し、「損得を超えたところに大切なもの――家族の価値とか国を守ること――がある」と訴えて、

 援助交際をする少女に駄目だといえない大人を作ってきたのが、家族の価値とか国を守ることとかが「マイナスであると教え」てきた教育だ、と力説しています。

 援助交際も、憲法と教育基本法が原因だと言いたげですが、こんなに単純にものごとを割り切って考えられれば、世の中を渡るのも簡単でしょう。

 最後にアベ氏は、自民党と公明党の憲法草案に使われた語句、「愛する」と「大切にする」という二つの語の違いを強調します。

 公明党のいう「国を大切にする心を涵養する」にある「大切」という言葉は、自民党のいう「国を愛する心を涵養する」にある「愛する」という言葉は、全く違うのであり、「ここはどうしても譲れない一線であります」といって、消しゴムや鉛筆の喩えを使い、拍手をとっています。

「家内を大切にするのは、愛するが所以であります」

「消しゴムや鉛筆を大切にしましょうとはいいますが、消しゴムや鉛筆を愛せよとはいいません」

「では国家は、消しゴムや鉛筆並なんでしょうか」

 なんだか訳の分からない論理で、こちらの頭まで混乱しそうです。まさか、その混乱を狙っているわけではないとは思いますが。

 この動画、かなり笑えますが、笑った後に背筋が寒くなるのは覚悟しておいた方がいいでしょう。

 

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