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プラザ合意の後――米国を支える日本、そして法人税

 イスラエルのレバノン空爆が再開されましたね。

 アラブ世界のみならず、世界中の反感を買っても無理を押し通す。あっ、アメリカは別でしたね。和平を求める意思がありません。

 第1次世界大戦後、イギリス委任統治領のパレスティナに、その後、それも第2次世界大戦の後、アラブ側の一方的な犠牲でイスラエルが建国されるにいたった経緯をみていくつもりでしたが、その前に国内問題をもう少しみようと思います。

 前回エントリーの「法人税率の推移と歴代内閣」とあわせて、晴耕雨読さんの2日のエントリー、「アメリカはいかにして日本を滅ぼしたか」をお読みください。

 晴耕雨読さんの記事はプラザ合意の話しから始まっています。

 プラザ体制というのは、基軸通貨であるドルを安定させるために、円高阻止にドル買い介入して、巨額のアメリカ国債保有を増やし、円高・ドル安になるたびに約5500億もの国富を失う、という計算になるようです。

 「先進5カ国は、協調して為替レートを円高、マルク高、ドル安に進めることに合意した。」と発表されたプラザ合意について、スーパーニッポニカでは次のように説明しています。

 Plaza_2  1985年9月にニューヨーク・プラザホテル(写真)で行われた先進5か国蔵相会議(G5)において、当時のドル高を是正するため、為替(かわせ)市場に協調介入する旨の声明を出した。これをプラザ合意という。これによってドル相場は一挙に下落し、所期の目的は達成された。この合意は為替相場をまったく自由に変動させる自由変動相場制から、為替市場の状況により適宜介入する管理相場制への歴史的な転換点となった。(小学館)

 1985年(昭和60年)といえば第2次中曽根内閣の時で、中曽根康弘氏とアメリカ、レーガン大統領との「ロン・ヤス関係」が強調され、「世界の中曽根」をアピールして内閣支持率が上昇した頃でもあります。

 サミットでも中曽根氏は、いつの間にか、それとなく米国大統領のそばに寄り、スナップ写真でも注目される位置に立つ姿が目撃されたことを伝える新聞記事を覚えています。

 ロン・ヤス、そしてジョージ・ジュンイチロウ関係、ターニングポイントには、日米両首脳の親密さが、ことさら強調されますね。

  1980年代に入り、アメリカは79年の第2次オイルショックから他の先進諸国に先駆けて回復して輸入を増やしますが、日本やヨーロッパ共同体諸国は景気回復が遅れたためにアメリカの輸出は伸び悩み、貿易収支が大幅な赤字となります。

 さらにはアメリカの金利水準がかなり高かったために各国の資金がアメリカに流入し、ドル相場が実体経済からみると著しく割高になっていました。

 73年の通貨不安をきっかけに変動相場制に移行した各国通貨は、円相場でみれば、77年初めには1ドル290円台であったのが、78年10月末には176円を記録するというように、70年代、80年代を通じて乱高下します。

 プラザ合意発表前の円相場は1ドル242円。

 発表後は翌年の200円割れから、その後1990年の140円、1995年4月の79円75銭を経て、一貫して円高傾向を保ち、最近は110円近辺で推移してきています。

( 米国エコノミストの予想では、ドルが急落して、日欧の内需拡大が実現すれば、1ドル160円くらいとどまるソフトランディングと130円くらいになるハードランディングのシナリオがあったそうです。)

(また金利面でいえば、日本は89年5月までの2年3ヵ月にわたり、金利2.5%という低い金利に抑えていましたが、米国はやはり金利引き下げをしたといっても10%台から6%台に落としたに過ぎず、ドル通貨の価値は下がっても、金利差のために米国からの資金流出はくい止められたわけです。)

この円高で米国債を保有していた生保は大損害をうけ、輸出産業も打撃を受けます。

 プラザ合意の後、87年(昭和62年)、暫定税率の期限切れから43.3%の法人税が42%に引き下げられ、その後さらに消費税導入により89年(平成元年)に40%、90年の37.5%、そしてついに97年(平成9年)に消費税が5%に引き上げられた翌年、法人税は34.5%に、続く98年には30%にまで引き下げられたのです。

 国はドルを買い支え、企業は法人税の低下の恩恵を受け、貧富の差なく国民には消費税がのしかかり、これからその負担はさらに重くなる、ということになりそうです。

 そして米国は、日経ネットの「プロの視点」によると、「国土安全保障費の積み上げで財政赤字の拡大に加速がかかり、ドル安防止に無関心になり、日中などの外貨準備が買い支えるままに赤字国債を発行している」ということです。

 

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