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食の不安から

Dscn2342_1 発酵したトマト。
 これからパン作りのための天然酵母をとります。
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 暑くなって、いろいろな食材から酵母が取れるのがおもしろいところ。

 さて、私がパン作りを覚えたのは、上の子どもが幼稚園に通うころのこと。そのころはまだイースト菌を使っていました。

 高度成長も一段落した時代、様々な公害問題がクローズアップされました。水俣病や四日市ゼンソクはかなり前から問題になっていましたが、イタイイタイ病、新潟水俣病等々が発見され、にわかに注目され始めていましたし、東急東横線で渡る多摩川は、家庭排水等で泡立っていました。有吉佐和子さんの『複合汚染』が話題になったのは70年代初めの頃でしょうか。

 団地には子供たちの声が充満していましたが、小さな子どもを二人抱えた私は、何を食べさせればいいのか、途方にくれていました。とにかく手作りしようと思っても、原料自体が農薬で汚染されているわけですから、せめて手作りしてと、不安に駆られる自分をなだめ抑えるように、せっせと食事を作っていました。

 子供たちがとっくの昔に巣立っていった今は、酵母作りを楽しみながら、国産小麦を使って、いろいろ試してみるのがちょっとした息抜きのようなものです。

 食物に対する不安を抱えて、懸命に子育てに励んだときから、もう30年になります。

 あれから世の中は少しは良くなったでしょうか?

 いえいえ、不安の様相がガラリと変わって、当時よりもっともっと生きがたくなってきたのが現実ではないでしょうか。

 食に対する不安は、遺伝子組み換え、そしてBSEと、質そのものが一変してしまった気がします。

 口に入る植物も、受粉等を通して品種改良するあたりまでは私たちにも理解可能でしたが、それが遺伝子の問題になってしまったら、もう闇の中。

 そしてBSE問題では、PCBその他で問題になっていた人体の許容量云々などという数値は、どうも無意味になってしまったようです。

 そこへ来て今度は、政治問題でも不安を煽られる私たち。それも、政府自ら煽っているのですから、いったいどうなっているんでしょう。

 私が育った時代は、戦争を経験した親の世代がまだ現役で、有言であれ無言であれ、さまざまなサインを送ってくれていました。

 戦争の悲惨さを語るのはもちろんのこと、戦争にまつわる愚かしい思い出でさえ、反面教師として受けとめて、自分の糧にすることができました。

 そうした世代がどんどん鬼籍に入っていくのと平行するかのように、戦争を忌避する感覚が失われていった気がします。


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政治」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。TBありがとうございます。
 遺伝子組換えで有名なモンサント社など主要企業が世界の主要作物の種子の95パーセントの特許を押さえ、その農作物から花粉が飛んでいったら、よその農家を特許権侵害で訴えて回っているようですね。強姦しておいて俺の精子を泥棒したと訴えるようなものです(すみません下品で)。インドの奥地で古来から耕作してきた人たちを、種子が似ているからといって特許権侵害で訴えたとかいう話もあります。
 日本の作物もどんどん自然のものが減ってきて、そのうち首根っこを押さえられた状態になることでしょう。極めつけはターミネーター遺伝子を持つ種子で、一回しか作物ができず、種子ができないので毎年モンサントから買わなければいけなくなるという「ハイテク」です。
 テポドンなんかで騒いでるひまはまったくないですね。

投稿: luxemburg | 2006年7月 7日 (金) 17時53分

「戦争を忌避する感覚」が失われたのは,どうも私たち60年代生まれの世代からではないかなと思ったりします。物心ついた頃にはアメリカ製の戦争映画やら,日本製の戦争アニメばかり見せられて来て,ヤマトやガンダムを見てないというだけで変人扱いされた世代です。同じ昭和30年代生まれでも,思春期に視覚メディアからその手の刺激や情報を受け取ってきたかどうかで,感覚がずれてるかなと思うことがしばしばあったり。

# 学部に7年いたせいもあって,寮の文系の学生が入れ代わるのを観察していて気が付いたんですけどね。

投稿: kaetzchen | 2006年7月 7日 (金) 17時56分

おはようございます、luxemburgさん、kaetzchenさん。
 ターミネータ遺伝子とやらは結構もう一般化していますよね、確か青首大根は1回きりですし、私が毎年種を蒔く花、よく知られたところではペチュニアなどもそうだと思います。チューリップだって。
 特許権の話しは、かつて新大陸の土地を原住民から奪った時のことを思い出しますね。
 それにしても、ヤマトやガンダムの話しについてですが、やはり戦争ごっこに共感できる男性が多いんですね。女の私は、多分他の女性もだと思いますが、戦争はレイプを連想させるということだけで、おぞましさを感じてしまいます。人間が、戦利品のひとつになってしまう、それだけでもいやですね。

投稿: とむ丸 | 2006年7月 8日 (土) 08時47分

それがね,私の世代になると,ヤマトやガンダムにとち狂う「アニメヲタク」の女の子が急増しまして(笑)

恐らく,この辺でとむ丸さんはめまいがするのではと。

投稿: kaetzchen | 2006年7月 8日 (土) 13時46分

男も女も、想像力の貧困、かな。
生身の人間が人殺しを強要されるとき、あるいは自分が大切に思っている人たちが殺されるとき、そんな時のことを想像しないのかな。
抽象的な大義で精神が高揚することを覚えているのかな。自分が戦場に立ったときのことを想像しないで。
もしそうなら、自分たちだけでやって! 私たちを道連れにしないで、とも言いたくなる。所詮、高揚組も私たちも、代替可能な駒の1つとしてしか意識されずに、数だけが問題にされるんですよね。

投稿: とむ丸 | 2006年7月 8日 (土) 18時58分

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