コスタリカ国際法律大学教授カルロス・バルガスさんの講演を聴いてきました。
以下はその内容です。
コスタリカと日本は兄弟の国です。日本は憲法9条で、コスタリカは同12条で、軍隊を禁止しています。
(この軍隊を否定した)自分たちの経験を伝えるのは、コスタリカ人の義務だと思います。
コスタリカ共和国は中央アメリカの、(ニカラグア共和国、パナマ共和国に挟まれた)面積5万K㎡、人口400万の小さな国です。
1948年になぜ軍隊を廃止したのかというと、軍隊があると戦争をし、平和が脅かされると考えたからです。
コスタリカは、1822年のスペインからの独立時以来、かなりの金額を教育に投資してきました。
子供たちの教育を通じて、平和・人権を学んできました。
1871年には死刑を廃止し、1886年には義務教育が無償になりました。
教育のおかげで効果的な法体制が作られてきました。
その結果、1907年には、中米で初の国際法廷ができました。
1948年の米州機構を作るのを推進してきたのがコスタリカです。
労働法も整備され、労働者に良い条件を提供しています。
コスタリカが平和・平穏であるためには、隣の国々も平和・平穏である必要があると考えました。
1987年に中米和平に調印。グアテマラ、ニカラグア、ホンジュラスに平和が訪れました。
1822年の独立以来、人権を守るとはどういうことなのか、コスタリア人は理解してきました。
中央人権裁判所ができたのもコスタリカで、全アメリカを管轄し、ラテン・アメリカ地域で起こる人権侵害を解決しています。
今では、小・中学校のみならず、大学まで無償で進学できます。
病院に行くのも入るのも無償で、これは在住外国人にも適用されます。
もめ事を解決するのは、話し合い・和解です。
紛争解決に大事なものは、寛容であることを、コスタリカ人は知ってきました。
侵略されそうになったこともありましたが、すべて、交渉を通じて解決してきました。
1980年代に、基地を作ってニカラグアに侵攻できないか、という米国からの圧力もありましたが、コスタリカはこれを拒否しました。
コスタリカは、非武装・平和であることから、アメリカが尊重してくれたのです。
小さな国ですが、米国とは対等です。軍隊がないおかげです。
米国は、コスタリカに、軍事基地を作れとも迫らないし、憲法を変えろとも迫りません。
コスタリカの対外政策は、国連を介してですが、全世界レベルです。
環境を守り、平和を保持し、民主主義を進め、対話を通して紛争を解決していきます。
コスタリカの子どもは、小学校1年で、平和とは何だ、民主主義とは何だ、ということ、人権を守ること、環境を保護すること、武器を持たないことを学びます。
歴史をとても大事にして教えます。良いことも悪いことも、すべて教えます。
良いことであれ悪いことであれ、現在にいかに対処するか、そして将来、進む道を考える手だてが歴史です。
7、8歳の子どもの教科書には、すでに、民主主義と平和を守ることは、自由を愛することで、平和な国は、そうした国を望むすべてのコスタリカ人の努力の結果です、と書かれています。
平和は理想ですが、その理想を達成するためには、個人が一人ひとりの平和を確立することが大事です。
そこから社会の安定が生じ、国民は道徳と豊かさを享受できるのです。
そうしたことが、すでに7、8歳の子どもに教えられています。
何よりも大事なことは、
子どもに自分の心の中を表現することを教えていること。
自分の考え、知っていることを伝え、政治に参加することを教えていることです。
4年ごとの大統領選挙には、子供たちも参加します。
小学1年でも政治に参加するとはどのようにすることか、知るようになりますし、平和と民主主義を学びます。
武装していない国の市民であることの誇りを手にして、国歌を歌うことも、国旗を揚げることも、誇りに思います。
人口はたった400万、面積もたった5万K㎡の小さな国で、貿易も、そのほとんどを米国に頼っています。
軍隊を捨てた国にもう一度軍隊を置く圧力がかかったときもありましたが、もう1回軍隊を持とうということにはなりませんでした。
また、民主主義が選挙だけではなく、たくさんの要素と結び付いていることを学んできました。
寛容な心を持つということは、すべて民主主義に結び付いていると私たちは理解しています。
こんな小さな国にできることが、なぜ日本でできないのでしょう。
隣国との間に危機的状況があるのは知っていますが、北朝鮮の仕掛けた罠に陥ると、北朝鮮の侵略・軍隊強化の口実を与えることになります。
軍隊を持たないと、どんな小さな国でも、世界最大の国よりも強いことを、日本の人たちに伝えたいと思います。
紛争は話し合いで解決する方が実りあります。
日本は勇気とエネルギーのある国民だと思っています。2度の原爆から蘇り、経済力を高めたのですから。
アジアの中で、人権の擁護、非武装を進めていってほしい。
日本の教育システムを変える必要があると思っています。そうした変革を小・中学校でやれば、世界で起こっていることを知ることができ、自分たちの進む道を決めることができます。
沖縄に行って、ひめゆり平和記念館で、戦前・戦中の教育での子どもの思いこみ、決して降伏せずに、国のために喜んで死ね、という考え方があったことを知りました。16歳の子どもがガマに潜み、「怖れることなく陽の光の下をもう一度歩きたい」といってました。
こういう風に強いられた教育は、本当のことを教えない教育でした。
コスタリカは子供たちに事実を教え、自分の考えを自由に表現させます。
コスタリカと日本は協力し合い、平和・人権・民主主義・環境を守り、対話を共に学んでいきたい。
9条の維持がとても必要です。
以上のようなお話でした。沖縄の話しをされるときには、亡くなった幼いきょうだいをおぶって、直立不動でじっと前を見る、よく知られた写真をスクリーンに映していました。
ふー。今日はここまで。列車とバスを乗り継いでいってきたので、疲れてしまいました。
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