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「愛国心」は、米国の要求でもあった

_203_1 _204_1 _209_1 あじさいいろいろ。

 さて、1953年の秋、当時の首相吉田の密命を受けた特使池田勇人が米国ワシントンに飛び、国務次官補ロバートソンと1ヵ月に及ぶ会談を行っています。

 いわゆる「池田特使・ロバートソン国務次官補会談(1953年10月5日―30日)」です。

 当時の米国大統領は53年7月に朝鮮戦争休戦協定、そして同年10月に大韓民国、54年12月に中華民国(台湾)と相互防衛条約を結び、同54年9月にSEATO東南アジア条約機構を組織した、共和党アイゼンハワーです。

 MSA協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定締結の予備会談として秘密のうちに進められたこの会談は、その議事録を10月25日の朝日新聞にスクープされました。

 この会談については、1991年10月5日の毎日新聞にも取り上げられています。

 日本側に突きつけられた再軍備の要求をかわしていった様子を見ると、まだ戦争の記憶が強く残っていた時代の雰囲気が想像されます。

 今日はまず、

「これまでの会議の進捗によつて,両国代表は議事日程に掲げられた諸問題について若干はつきりした諒解に近づいたことが示された。日本代表は到達せらるべき 諒解が本国政府によつて承認をうけ,その使命を全うすることができると確信を深めるに至つた。この文書は従来までに達成された結果及び今後合意を要する事 項を議事日程順に要約するものである」

 に始まる、10月日19日付「池田特使覚書」の中の「愛国心」に触れた部分を見てみます。

(引用開始)

一、日本防衛対と援助

(一)日本代表は充分な防衛隊をもつには四つの制限があることを強調した。その制限とは法的,政治的ないし社会的,経済的及び物理的なものである。
……

(二)
……

(ハ)本会議参加者は,日本国民が自己の防衛に関しより多くの責任を感ずるような気分を国内につくることが最も重要であると意見一致した。愛国心と自己防衛の自発的精神が日本において成長する如き気分を啓蒙と啓発によつて発展することが日本政府の責任である。

 (引用ここまで)

「十分な防衛隊をもつ」上での4つの制限、「法的,政治的ないし社会的,経済的及び物理的なもの」とはそれぞれ、

・憲法上の制限

・占領8年間で、「何事が起ころうとも銃を取るなと教えられた」若者、女性、知識層、遺族たちを納得させる困難さ

・国家防衛の第一歩を国民生活の保護とすべきこと

・募兵に伴うさまざまな困難・危険性

 の4つであることを日本側は説明しています。

  池田は、憲法を改正してでも陸上防衛力を増強するように迫る米側に対して、「憲法改正はできない」と突っぱね、まず復興に役立つ経済援助を要求しましたが、これには別に経済協力協定を結ぶ必要があったということです。

 翌54年5月1日、日米相互防衛援助協定が発効し、防衛庁が設置され、自衛隊が発足しましたが、池田は会談で、直接侵害に対する防衛は憲法改正せずにできると明言していたようです。

 そうした中で、日米共に、「日本国民が自己の防衛に関しより多くの責任を感ずるような気分を国内につくることが最も重要であると意見一致した」ところに興味をそそられます。

 こうした米国側の要求と日本側の保守勢力の思惑は、当時より一致していたのですね。ただ、時期尚早ということだったのでしょうか。

 20世紀は戦争の世紀、とよく言われますが、米国は、一貫して、よく戦争をしてきました。

 
 そして21世紀、テロへの戦いを合い言葉にして始まった戦争。

 平行して私たちの国でも、「自己の防衛に関してより多くの責任を感ずるような気分を国内に作る」試みが続けられてきました。

 ついには、ぷらさんによれば、大阪では教育勅語を暗唱させる幼稚園が2つも出てくることに! 

 いったい、誰が、何のために「愛国心」を叫ぶのか、もう一度考えてみましょう。

 

 
             


 


 

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「政治」カテゴリの記事

コメント

“とむ丸”さま、こちらこそです。コメントありがとうございます。

小生の記事(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060703)でも取り上げた冷泉彰彦氏の新著「『関係の空気』、『場の空気』」(講談社現代新書)によると(未読ですが)、岡山での集団暴行死事件の容疑者の一人は“ふだんは優しいが、すぐにキレる”と言われていたそうです。今回の東大阪市で起きた残忍な生き埋め事件の主犯格の人物も似たようなものかも知れません。

冷泉彰彦氏は、この本で『日本語の窒息説』を唱えているようです。つまり、穏便な言い回しなどでこちら側の意志を相手に伝えたり、利害が対立する場で上手く問題を解決するための妥協策を探るために駆使すべき日本語の能力を失っているのではないか、というのです。それは、ソックリ小泉首相の短絡的な行動パターン(よく言えば得意のパフォーマンス)とワンフレーズ・ポリテクスに繋がるように思われます。

今回、その東大阪の市長選挙で共産党員の前市長が返り咲いたことに、この事件が何らかの影響を東大阪の市民へ与えたのではないか(つまり、市民もやっと問題の所在とその深刻さに気づいたのではないか)、と想像して(これは、あくまでも想像ですが・・・)おります。

そして、おっしゃるとおり、今回の米グレースランドでの小泉氏の所業(肝心のブッシュ氏すら驚いた様子?)を観察すると、以前から小泉氏に纏りついていた“ご指摘の悪い疑惑”がやはり本当だったのではないかと思えてきます。

ひょっとすると、過半の日本国民とマスメディア(特にテレビ)は“とんでもない人物”を首相に選び(その本人と、それを支持する人々が相思相愛の仲だと思ってきた、その肝心のアメリカの人々からでさえも“アナタはチョット変よ!?”と思われる人物)、それと共犯関係を作ると言う、とんでもない大犯罪を犯してしまった可能性があるかも知れません。

しかし、この段に至ってもメジャーな日本のマスメディアは未だにコトの深刻さに気がつかず、“第二の小泉”たるキレやすい人物を再び日本国の首相に推戴するため、また彼が主張する「新しいナショナリズム」(お門違い、または勘違いのおバカなナショナリズム)を高揚させるためヤッキとなっています。

今後も、慎重に彼らの動向を観察し、批判し続けなければなりませんね。

投稿: toxandoria | 2006年7月 4日 (火) 15時14分

toxandoriaさん、こんばんわ。
>穏便な言い回しなどでこちら側の意志を相手に伝えたり、利害が対立する場で上手く問題を解決するための妥協策を探るために駆使すべき日本語の能力を失っているのではないか

 という指摘に私自身も耳の痛いものを感じますが、特に昨今の政治の場での日本語のお粗末さには唖然としてしまいます。
 そのくせ、詭弁、言い逃れの術ばかりが発達したような小泉以下の方々は、モラルの面ばかりか、国語の使い方、論理の展開、どれにおいても悪い見本ばかりです。
 とくに首相の我田引水的な語りは、最近の自己チュー人間、自己愛人間の姿をさらけ出しているようで、見苦しい限りです。
 あの人の頭の中はどうなっているのでしょうか。
 

投稿: とむ丸 | 2006年7月 4日 (火) 19時30分

>そのくせ、詭弁、言い逃れの術ばかりが発達したような小泉以下の方々

彼らの弄する言説は、詭弁、言い逃れとしても出来が悪いと思います。

こんな出来の悪い詭弁や言い逃れを時代の空気の中で学んでしまう日本の子どもたちがあまりに不憫です。

投稿: 村野瀬玲奈 | 2006年7月 5日 (水) 00時52分

村野瀬さん、こんにちわ。
少子化と騒ぎながらちっとも子どもを大事にするような施策がとられないし、政治家が悪い見本を見せてばかりいるのは、やはり国民を「数」でしかみないせいでしょうね。自分の都合の良いように動かす駒ですから、数だけが問題なんでしょうね。

投稿: とむ丸 | 2006年7月 5日 (水) 13時49分

“とむ丸”さま、驚かれましたか?

実は、toxandoriaも日本の女性たちは何時からこんな悪趣味になったのかと不思議です。アー薄気味ワル!の思いです。口直しではありませんが、『太陽が一杯』のアラン・ドロンや『冒険者たち』のリノ・ヴァンチェラ、もっと古いところでは『現生に手を出すな』のジャン・ギャバンなどが懐かしくなります(元、仏映画かぶれデス)。

記事を書いた直接の根拠は東京新聞の調査結果です(下記URL★を参照ください)。

★若・女→安倍氏 福田氏←老・男、http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060701/mng_____kakushin000.shtml

本屋さんの店頭で女性週刊誌などをパラパラと立ち読みしたところでも、同じような女性たちの反応が書いてあったような気がします。

小泉・安倍など二、三代目の寄生政治家も六本木ヒルズ族と一緒で“おセレブ”なのでしょうか? まあ、これも低劣なテレビ番組のおかげかも知れませんが・・・。

投稿: toxandoria | 2006年7月 5日 (水) 18時51分

上の記事で・・・『太陽が一杯』は『太陽がいっぱい』の間違いでした。

今日は“一杯”やって、もう寝ることにします。失礼しました。

投稿: toxandoria | 2006年7月 5日 (水) 21時41分

toxandoriaさん、わざわざお知らせいただきありがとうございました。
残念ながら、上記のURLの記事は削除されてしまったようで、見つかりませんでした。
あれなら、まだ、ベッカムで騒いでいる方が理解できます。彼はお馬鹿かもしれませんが、害はありませんから。

投稿: とむ丸 | 2006年7月 5日 (水) 22時15分

とむ丸さん、こんばんわ~(って、もう朝か?!)
ごあいさつが遅れましたが、本文中でのご紹介、ありがとうございました。(^^)
私も、どこかの記事で若者や女性が安倍ちゃんを「理想の上司」呼ばわりしているのを知って気分が悪くなりました。カルト宗教、狂牛病・・・いろいろな問題がテポドンで吹き飛ばされないように、これからも粘り強く発信していきましょう!!

投稿: ぷら | 2006年7月 9日 (日) 03時17分

ぷらさん、いらっしゃい。
夜なべ仕事ですか?
そうそう、リンクはらせていただきます。おばさんブログ同盟のよしみで。と、勝手におばさんにしてしまいましたが、良かったでしょうか?

投稿: とむ丸 | 2006年7月 9日 (日) 11時16分

>toxandoriaさん、わざわざお知らせいただきありがとうございました。
>残念ながら、上記のURLの記事は削除されてしまったようで、見つかりませんでした。

ってコピペミスではないですか?

★若・女→安倍氏 福田氏←老・男、
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060701/mng_____kakushin000.shtml

URL先のページはちゃんと表示されますよ。
もっとも僕も最初やった時、URLの最後のところが「/mng_____kakushin000.sht」でコピペミスしましたけれどね。

僕は、コメントランでのURLは、

>URLを自動リンクする
>
>入力されたURLを自動的にリンクして表示したい場合はチェックボックス
>をオンにしてください。(「コメントでのHTML 使用を許可する」をオン
>にしている場合は、ここでの設定は無視されます)。

にしてます。

「設定→表示設定→URLを自動リンクするにチェックを入れるでできます。

投稿: SOBA | 2006年9月14日 (木) 09時26分

SOBAさん、ありがとうございます。
さっそく設定を直してみました。

投稿: とむ丸 | 2006年9月14日 (木) 10時04分

この記事へのコメントは終了しました。

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