指導者の強欲、国民の真面目さ
先のエントリーでお話ししましたホロコーストのことですが、中にかなり珍しい話が載っていました。数多い、理不尽で戦慄を覚える話しの中でも、ほっとするような場面です。
20歳になった青年が、ナチスの侵攻を目前に、友人と共に父の家を出て数年にわたり逃避行を続けるのです。
現在ウクライナ領、当時はポーランド領の故郷を出て、若者2人はひたすら東へと歩き続け、ヒッチハイクをしたり列車に飛び乗ったりして、3ヵ月後にはコーカサスに着きます。働きながら、しばらくはそこで過ごします。
戦争が続いているとは信じられないくらいの平和な日々ですが、夜には家族の写真に語りかけ、枕を涙で濡らします。やがて、ナチがやって来ると聞いて、またそこを発ちますが、数千の避難民の群れを目にすることもあったようです。
カスピ海を渡り、トルクメニスタンのクラスノブスクに着くと、そこにも避難民。そしてウズベキスタンのサマルカンド、タシケントから、キルギスタンの首都に着いた頃には、もう21歳になっていました。
ウズベキスタンの北部国境にはポーランドからの避難民のキャンプができていると聞き、そこを目指す途中、地元の遊牧民家族と出会い、丁重なもてなしを受けます。
難民キャンプからタシケントに戻った後モスクワへ向かい、途中ポーランド軍と合流。45年のベルリン攻略に参加。そしてベルリン陥落。戦争終結。この時すでに、家を出てから4年の歳月が流れていました。
その頃、両親と4人の姉妹がすでに亡くなっていることを隣人からの手紙で知ることになりましたが、それでも最初の数年間は、列車に乗ってどこかへ行くたびに、家族の姿を探したといいます。
もともと、大人になった息子に避難することを提案されながらも、父親はそれを拒否して、家族共々虐殺されてしまったのです。その事情は他の家族でも変わらず、家に留まり、ホロコーストの犠牲になっている例がほとんどです。
なぜ、逃げなかったのか、という問に生存者は答えます。「自分の家を出るなんてことはとてもできません。考えられませんでした」
統一協会が跋扈して、政治中枢に金で働きかける。札束で頬を叩かれる議員たち。
世界基督教統一神霊協会の合同結婚式(祝福式だったとか、特定の宗教団体の儀式ではありませんとか、いろいろ主張しているようですが、実質的にはまさしく合同結婚式そのもの)に祝電を打った国会議員 は次の人たちと某ブログでいわれています。
それぞれの注釈は、heart's shotさん。
岸信夫 参議院議員・安倍晋太郎の三男、アベジョンイル弟
山谷えり子 参議院議員/内閣府大臣政務官
高市早苗 衆議院議員
山本一太 ウマ下手シンガー・アベジョンイル官房
石原宏高 衆議院議員 慎太郎の三男
松浪健太 衆・選挙違反や談合汚職一族の星、ちょんまげ健四郎の甥
保岡興治 衆議院議員・憲法改悪論者
松波健太氏はHPを持っていないようです。
山本一太氏はマイクの前で陶酔境に浸り、「かいかくの詩」を歌っています。
他の方々は、にこやかな笑みを浮かべていますが、相手のない微笑みです。ちょっと怖イ。
ただし、私がビデオから拾った人の名前と一致してません。この名簿はちょっと怪しい。
(wikipediaにも載っていましたが、確認のために今見ますと、すでに削除されています。)
ビデオで読み上げられていた名は、安部氏以外では、
元法務大臣の衆議院議員保岡興治、自民党政調会長中川秀直、自民党衆議院議員増原義剛、他国会議員3名(不明です)。政治家以外では、第一薬科大学副学長吉武タケド? 九州大学名誉教授高島良正。
また、統一協会のこの大会は全国12都市で行われています。詳しくは、カマヤンの虚業日記をご参照ください。
権力のうまみをたっぷりと味わい、その維持に余念がない選良たち。強欲といい訳。
住民税の老年者控除全廃で増税されても、国の財政を心配する国民。
この国はどこへ行こうとしているのか。どうなるのか。私の周りのお年寄りでも、そうした不安を口走っています。
国の指導者が駄目でも、私たち国民は本当に真面目。
黙々と働いて税金を納め、病気や事故で倒れたら、最長180日でお払い箱にされそうですし、若くて丈夫だったら、今に戦地に駆り出されるかもしれないし、
こんな国いやだあ! といっても、愛国心を強制されそうだし。
陸路を徒歩で逃げたホロコースト生存者の場合と違って、私たちは海に囲まれていますしねえ。
この国に留まって、何とか生き延びる方策を考えるより仕方ないかな、という心境です。
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コメント
とむ丸さん、その7人の議員の根拠はちょっと怪しいですよ。統一協会側は、誰から祝電が送られたかは明らかにしていませんし。
式典で名前を読み上げられた議員はカマヤンさんのこちらのエントリーに一覧がありますが、それ以外の議員についてはまだ不明です。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060609
ありえそうな面々だけに飛びついてしまいそうですが、根拠がはっきりしないものはむやみに批判しない方がいいと思います。
投稿: ハムニダ薫 | 2006年6月22日 (木) 17時44分
ありがとう。今私もちょっと怪しいと思って調べ直しているところでした。
投稿: | 2006年6月22日 (木) 18時15分
とむ丸さん、きれいな緑の背景が気持ちいいですね。雨が続いていやです。ちょっといろいろあって、ゆっくりおしゃべりできないのですが、安倍さんの弟の岸信夫さんの名前があったので、あの方もお兄さんと同じく溶けそうな顔です、と伝えたくて・・・。(笑)
2年前の初選挙の時、危なかったのですが、どうせ自民党が勝つんでしょ、と思ってたら、なんと、ギリギリで当選という状態で、もっとまともに民主党を応援しておけばよかった、と反省しました。なんだかしらじらしいことを言われていて、そんなのうそでしょう?と怒りました。えーと、たしか、岸家に養子に行ったことを知らなくて、高校生の時に戸籍謄本を見て、初めて知り、ショックをうけた、というような内容が新聞に出ていました。でも、高校生になった時、戸籍謄本を出したりするのかな?昔のドラマのような話だな、と思いました。(ほんとだったら、ごめんなさい。)
投稿: とくら | 2006年6月22日 (木) 19時09分
こんばんわ、とくらさん。
ハムニダさんのコメントとその返事にも書いているように、保岡氏を除いた岸信夫氏他5名に関しては確かではありません。wikiにも出ていたのですが、今確認すると、すでに削除されています。誰が、何の目的でこんな怪しい情報を流したのか、興味あります。危うく乗るところでした。
あっ、それと、昔はよく戸籍謄本やら抄本を学校に提出したような記憶があります。親の最終学歴までも書きました。
投稿: とむ丸 | 2006年6月22日 (木) 19時51分
アメリカでは学資目的で軍隊にはいってイラクへの出動命令を出され後悔した人はカナダに逃げているようですが、日本では逃げるといってもまわりは海。ボートピープルになっても中国に流れ着いたのではね…
アサヒ芸能(記憶違いでなければ)の電車の吊り広告に大きく「すっぱ抜き」として安倍晋三統一協会系大会に祝電証拠の動画とかいう見出し(ちょっと文が違うかもしれません)が出ていました。
投稿: ヘリオトロープの小部屋 | 2006年6月23日 (金) 01時23分
私は松浪ケンタ議員のブログには時々おじゃまし(私の選挙区なので)コメントもしています。このリストの件で確認してみたのですが全く知らないとの回答でした。この回答が本当がどうかは私にはわかりませんが、このリストは「薫のハムニダ日記」からの抜粋の可能性が高く、それは祝電を送ったリストでなく「再チャレンジ推進議員連盟」に名を連ねるリストでした。
どこかで、勘違いが起こってる可能性があります。
投稿: ろべかる | 2006年6月23日 (金) 02時12分
ヘリオトロープさん、
私たち庶民は、逃げたくとも逃げられない。逃げなくても済むようにしなければね、とあらためて思いました。あっ、そうそう、ヘリオトロープさんの所に再三TB送ろうとしたのですが、できませんでした。
ろべかるさん、はじめました。
わざわざありがとうございました。松浪氏のHPを探したのですが分かりませんでした。ブログだったのですね。
とにかく、福岡大会で祝電を送ったのは、政治家では安部氏と他3名、それ以外は不明ですから、松浪氏が送ったかどうかも、もちろん不明なわけです。
でも、再チャレンジ推進議員連盟に名を連ねているのはこの7名だけではありません。ずらーっといます。勘違いするのも解せません。まあ、しばらくこの問題は脇に置いておきます。
投稿: とむ丸 | 2006年6月23日 (金) 09時52分
“とむ丸”さま、コメントありがとうございます。
TBがうまく届かなかったようですみませんでした。“はてなのブログ”は気に入っているのですが、時々、他のブログとの間でTBが上手く機能しなくなることがあるようです。
大分前のことになりますが、ビル・トッテン氏がレーガン政権下で行われたトリクルダウン理論(政府資金を先ず大企業に流入させるとそれが雨だれのごとく中小企業と消費者まで及んで行き景気を刺激するという理論/いわゆる意識的な格差拡大政策で経済を活性化するという“カルト的”な経済理論)の大失敗について指摘されています(http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1176317_629.html)。なお、この件については下記(★)もご参照ください。
★[暴政]「神憑る小泉劇場」と「ホリエモン」が煽ったトリクルダウン幻想、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060122
しかし、その後、このアメリカにおける大失敗の経験的な事実を分かり易く日本国民へ解説した政治家・経済学者・メディアなどは少なかったようです。しかも、小泉政権は目くらましのパフォーマンスと意味不明のトートロジーで国民を誑かしまくる一方で、新聞・テレビなどのメディアが総掛かりで提灯記事と政府御用達の低俗番組(トリクルダウン信仰)を垂れ流してきました。
そして、その陰で密かに良い思いをしたのが「おセレブで品位に欠けた六本木ヒルズ族とサラ金業界の守護霊と化した銀行業界」で、そこに集(たか)るだけ集(たか)ってきたのが政権与党の主な政治家連中と高給官僚たちです。また、小泉首相が銀行業界及び財務・金融関係官僚たちと太いパイプを持つことは、かなり以前から知られてきたことのようです。
結局、我われ善良な一般国民は、小泉・安倍らの世襲政治家と竹中らの御用学者、及び高給官僚と銀行業界が陰でつるんで演じてきた「高田の馬場」の“落とし噺”をすっかりリアルなものと信じ込まされてきたようです。
従って、福井・日銀総裁の問題は氷山の一角だと思います。小泉首相などに説教されるまでもなく、社会には格差というよりも生活環境や文化の違いのような異質性が満ち満ちていることは当然であり、それを乗り越えようとする意志の働きと善意の交流が重要であるのは当たり前のことです。
彼らが、悪魔的にまで狡猾なのは、この“当たり前”という「庶民の感覚」と「隙だらけの気分」の中に巧みに“カルト的”な経済理論を滑り込ませ、洗脳してしまうことです。
たしか“とむ丸”さまが以前に指摘されていたはずですが、まさに、これは「小泉劇場政治とネズミ講や霊感商法の作用構造が相似している」ということに他なりません。
そして、その霊感商法を守護神(背後霊?)とする安倍政権へのレールがメディアを総動員して、今まさに敷かれようとしています。
投稿: toxandoria | 2006年6月24日 (土) 11時34分
自民党金融調査会の幹部会が出資法の上限金利を現行の利息制限法の上限(年15~20%)に原則一本化する方針を固めたという報道がありました。民主党がどうしてこの問題について先回りしたアピールができなかったのかと思うと,残念でなりません。民主党は「庶民の味方」ではなかったのでしょうか。
似た話で,toxandoria さんの書かれた六本木ヒルズの問題があります。アエラ編集部が書いた『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』(朝日新聞社)を読まれると良いかと思いますけど;もともと朝日新聞社の経営を助けるためにテレビ朝日が建てた「六本木ヒルズ」。ところがテナント企業たちは成果主義のM&Aや金貸しばかりで虚業の塊。当然,ヒルズの建設業者にも安倍の息のかかった会社が多いので,自然と朝日新聞はブルジョワ新聞への道をひた走るという訳ですな。
面白いことに,今朝の朝日新聞に「安倍氏、出馬表明先送り カギは「8・15靖国」」http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20060624/K2006062306190.html という記事が載ってました。もしかするとアベシはわざと靖国参拝を回避することで,福田氏との違いをアピールする可能性も出てきました。
投稿: kaetzchen | 2006年6月24日 (土) 12時49分
ありがとうございました。
toxandoriaさん、
利権構造の中で蠢く政治屋さんたちの嗅覚の鋭さには舌を巻きます。脅したり、なだめたり、圧力をかけたり、ポーズを気取ったり。そんな裏社会の姿が表からもちらちら見えるようになったこの国に、ほんとうに多くの人が不安を感じています。それをまた逆手にとるのも許せません。そろって退場いただきたい、とつくづく思います。
kaetzchenさん、
朝日の変節の裏をそう読み解けるわけですね。
昔ね、私が中学生の時、美術の時間に仮面を紙粘土で作りました。できるだけ妙なものに仕上げようと苦心惨憺の上にできあがったのが、とけた蝋人形のような顔でした。(T_T)
それを否が応でも、思い出してしまうこの頃です。
投稿: とむ丸 | 2006年6月25日 (日) 08時12分
とむ丸さん,こんにちは。単に,亡き祖父の遺言を思い出しただけですよ。「朝日が右に寄ると,戦争が始まる」
戦前・戦後を関西の役人として過ごした祖父ならではの経験論です。今更ながら,この言葉を噛み締めています。
投稿: kaetzchen | 2006年6月25日 (日) 09時07分
おはようございます、kaetzchenさん。
以前もそのお話うかがったことがありました。なるほど、と時々思い出します。
投稿: とむ丸 | 2006年6月26日 (月) 10時17分
私もその一員である日本人の「ものわかり」のよさ、権力者への的外れの寛容さに不満です。つまり自分に不満ということなのですが。(笑)
日本人は意味なくまじめすぎます、本当に。
投稿: 村野瀬玲奈 | 2006年6月28日 (水) 00時54分
村野瀬さん、おはようございます。
この頃はだいぶその真面目さが失われてきていると多くの人が嘆いていますが、周りで見る人は真面目ですよね。それで痛みに耐えてきたのに。
江戸時代はあれだけ一揆・打ち壊しが頻発していたのに、とも思いますが。違った方向に洗練されすぎてしまったのかな。
投稿: とむ丸 | 2006年6月28日 (水) 08時21分
真面目さの意味が違うんじゃないかな?
一揆や打ち壊しというのは,単なる体制批判じゃなくて,生きるために人々が必死だったことの現れでしょ。
ところが現代はまさに「おかげまいりとええじゃないか」。真面目に努力する文化そのものが失われている。だから,いざ仕事の場面で「真面目に努力する必要性」に迫られると,「不真面目」の烙印を押されてしまうだけのような気がします。つまり,烙印を押す側の方に,実際には問題があるのではないかと私は考えてます。
# これは高校生やネットウヨの大学生を観察していて日ごろ感じていることなんですけどね。
投稿: kaetzchen | 2006年6月28日 (水) 09時11分
それと,生活保護など福祉を得ないと生活できない人間への差別意識や嫉妬の意識が強くなっていて,それに簡単に同調する人間が増えていることも問題だと思います。
実際,かつては生活保護を受けてた人には,アル中やギャンブル中毒など,生活習慣そのものに問題がある人がいたことは事実です。しかし,今は違います。生活自体が崩壊してしまって,働き口がないために最後のセーフティネットとして生活保護を頼る人が殆どなのです。
逆に言うと,こういう「最底辺の現実」を伝えようとしないマスコミに一番問題があるのかも知れませんね。金持ちが誘拐されようと殺されようと,そんなことは一般庶民にはどうでも良いことで,むしろ殺された方が幸福だったのではないかと私なんかは思うのですけどね。
投稿: kaetzchen | 2006年6月28日 (水) 09時17分