« ロード・オブ・ウォーとブラックアフリカ | トップページ | もっと大切な仕事がある――コンドリーザ・ライス »

「死の商人」のその後

 モスクワの軍事通訳養成機関を卒業して6カ国語を操り、1993年にKGBを去ってから、世界中の紛争地に飛んで武器を売りつける。かつて、当時の英国外相ペーター・ヘインが「死の商人」と呼んだヴィクトー・アナトルジェヴィッチ・バウトです。映画「ロード・オブ・ウォー」の主人公ユーリーのモデルと言われています。ユーリーの商売相手となった暴虐な大統領のモデルは、2003年ナイジェリアに亡命したチャールズ・テイラー前リベリア大統領でしょう。

 国連が2004年に定めた【資産凍結措置の対象となるリベリア前政権の高官又はその関係者等】のリストでは28名の個人のうち2番目に名前が挙げられています。肩書きと処分の根拠としては、「武器や鉱物資源に関わる実業家、売買業者及び運搬人。国連安保理決議1343に違反する武器売買業者。テイラー元大統領政権によるシエラレオネの不安定化やダイヤモンドの不正調達の支援者」と記載されています。

 また、次に見えるコンゴでの写真(一番左の男)から、コンゴの内戦にも関わったことが窺われます。

                              

 さて、この世界で最も名前を知られたロシア人武器商人を取り締まるべく、ブッシュさんは2003年夏に、バウトと米国市民が取引するのを禁止する大統領令に署名しました。
 ところが、ちょうどその頃までに、バウトのフロント企業と目されているテキサスを本拠地にする商用チャーター会社エア・バスが、イラクの米軍基地で燃料補給を受ける契約を済ませています。同社の飛行機はその年で実に142回も、イラクの米軍基地に着陸をしているということです。
 その飛行理由は、ハリバートン社のイラクの油田再建を請け負う部門であるケロッグ・ ブラウン・アンド・ルート社が貨物輸送にドバイの会社と契約し、その会社がエア・バスと下請け契約を結んでいたためだと、各企業のスポークスマンは言ってます。(つまり、バウトのフロント企業が、チェイニー副大統領が元最高責任者だったハリバートン社の孫請けになっていたという話です)
 ついでにいいますと、バウト自身は、2002年にベルギー当局とインターポール(国際刑事警察機構)の双方から逮捕状が出されて追われる身です。
 日米共に、負けず劣らずの錯綜した怪しい関係が、政権と企業の間に存在する、ということですね。 

|

« ロード・オブ・ウォーとブラックアフリカ | トップページ | もっと大切な仕事がある――コンドリーザ・ライス »

「政治」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。