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内閣総理大臣の衆議院解散権――自民憲法草案5

一週間ぶりにあちらこちらのブログを訪問して、現実感覚を呼び覚まされました。それにしても、国会に代表される現実のひどさに、しばし呆然です。

 気を取り直して、以前から行っている自民党の憲法草案を読み始めました。これは「新憲法草案」と銘打っていますが、読み進むにつれてどこが‘新しい’というのか、「新」にふさわしいことなんてあるのかと、暗澹とした気持になっていきます。


 国体護持を唱え、1946年の新憲法(現行憲法)公布にほぞを噛んでいた人たちは、この60年間、自分たちの意を汲む憲法の制定を目論見ながら、虎視眈々とその草案を公にする機会を狙っていたのでしょうか。
 
 この国の政治と憲法問題を考えるたびに、力ずくで反対意見を抹殺してきた維新前後からの80年の歴史を思い起こします。明治・大正・昭和の強権政治を許してきた土壌は何なのか。なぜ、あの強権政治が可能だったのか。


 「共謀罪」が考えられ、それが法案として提出されていること自体、あの強権政治を許した土壌が今でも存在している証しではないか、という思いが消えません。


 さてさて、内閣総理大臣の総合調整権に続いて、今日も総理大臣の権能拡大を見ていきます。


 自民草案の第54条(衆議院の解散と衆議院の総選挙、特別会及び参議院の緊急集会)には


 第五十四条 第六十九条の場合その他の場合の衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する
 
 とあります。
 
 現行憲法には全くなかった新しい規定です。そのために現行憲法の第54条の第1・2・3項は自民草案では第2・3・4項にずれ込んでいます。


 また、条文内にある第69条とは、(内閣の不信任と総辞職)についての規定です。


 第六十九条 内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない。


 自民草案の内閣総理大臣の「その他の場合の衆議院の解散」権は、まったく新たに登場した、さらなる政権与党の総裁を務めるものに与えられる権利ですね。


 昨年8月11日の衆議院解散について、憲法違反を問う声が大きかったのは記憶に新しいところです。ところがこの自民草案では、「その他の場合」を謳って、総理大臣に解散権を預けてしまうのです。


 ここまで総理大臣の権力強化が憲法で裏付けられてしまったら、本来の主権者である国民の意思など風前のともしび、といえそうです。


 一度握った政権は二度と他の勢力には渡さないぞ、という自民の意思がよく表れています。やはり、「彼等は本気」(華氏451度さん)で、私たちはあらためて「失われた150年」(とりあえずさん)の教訓を噛みしめて、民主主義の土台を築き直す必要があるようです。私たちのそんな思いこそ、立法化させなければいけないのではないでしょうか。


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