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ええっ、軍事裁判所!?――自民憲法草案2

自民党新憲法草案を読んでいて、跳び上がらんばかりに驚いたこと。

 第6章第76条第3項に、「軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。」とあるのです。



 「下級裁判所としての軍事裁判所の設置については、第9条改正に伴い設置する。」との説明がありました。



 肩書き「時事評論家・国際金融スペシャリスト」の増田俊男さんという方が、 国を守るためには、「生命の危機・人権無視・自己犠牲」が若き兵隊のあるべき姿であり、そうした兵隊を律するのが軍事裁判所の役目であるといわれています。



「生命の危機」も厭わず、「人権無視」にもひたすら耐え、「自己犠牲」でその身を国に捧げる……そんな“立派な青年”に、私はお目にかかったことがありません。軍事裁判所とは、ごくごく普通のお兄さん・お姉さんを立派な兵隊にする所なのだ、と初めて知りました。



 法政大学大原社会問題研究所のサイトには、戦時下の日本でも、軍隊内で抵抗のあったことを伝える資料があり、当時の若い兵士の肉声を伝えています。その中の一つに次のようなものがありました。




一九三七年一一月、当時華北に出征中であった一兵士(歩兵一等兵)から、秋田県の本籍地役場と小学校あてに、つぎのような内容の通信が送られきて、特高警察をあわてさせた。



――「第一線部隊では気がスサンで、少しでもシャクにさわると突き殺すという現況です。東洋平和がどうとか、支那民国を緩和せんとか、そんな理論的な行動を主眼としては自分等の命が危い、戦争で死ぬのが名誉ではないのだ、勝って生きて帰るのが本領なのだ、敵の中には日本人、ロシア人等混って居った。



  あるいは、「中国戦場の日本軍部隊の中には、自傷・自殺・逃亡・行方不明・反抗・叛乱などがふえていった。」という記述もあります。



 こうした兵士たちを裁くのが、軍事裁判所なのでしょうね。

 

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