植木枝盛の憲法草案4
植木起草による国憲案第69条が
「日本の人民は諸政官に任ぜらるるの権あり」と述べる箇所は、
明治憲法では
第19条「日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得」にあたるでしょう。
明治憲法「第2章 臣民権利義務」は、その最初の項第18条から第30条まで、実に全15条の内13条まで、「法律の定むるところによる」、「法律の定むるところにより」、「法律の定むるところに従い」、「法律の範囲内において」、「法律定めたる」、「別に定むることの規定に従い」等々、人権保障に当たっては但し書き・条件がついています。
憲法自体が、国民の人権を法律に丸投げしているような気がします。
逆を云えば、その後にできる法律によっては民主的な国の運営も期待できるわけですが、実際には「治安維持法」のようなものが成立してしまったのです。
ちなみに、治安維持法が公布された1925年は、男子普通選挙が可能となる衆議院議員選挙法改正があり、日本でラジオ放送が始まった年でもあります。
残りの2条は、
第三十一条
本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇大権ノ施行ヲ妨クルコトナシ
第三十二条
本章ニ掲ケタル条規ハ陸海空軍ノ法令又ハ紀律ニ牴触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス
という具合に、乏しい人権保護も、「非常時」とあらば「天皇大権」によっていくらでも制限できるという内容ですから、但し書きが付かないのも当然といえば当然です。
何だか、「日本臣民」でいることとは、こんなにも惨めなことだったのかと、思わず嘆息……。
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